ムシ歯の知識
ムシ歯とは
ムシ歯とは、口中に存在するムシ歯菌が食べカスの糖分を分解して酸を作り出し、その酸によって、歯の結晶が溶かされ、やがて穴があく病気です。
酸によって歯からカルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出すことを「脱灰」といい、ムシ歯は脱灰から始まります。
ムシ歯は子どもの病気というイメージがありますが、成人特有のムシ歯もあります。
歯周病で歯肉が下がって露出した歯の根元は、歯質が弱くムシ歯になりやすいため、特に注意が必要です。

歯を修復する“再石灰化”
脱灰が起きたから、すぐにムシ歯になるわけではありません。
唾液には、溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンを、再び歯に戻して結晶化し、修復する働きがあるためです。
これを「再石灰化」といいます。脱灰の量が少ない初期ムシ歯は、再石灰化によって治すことができます。
ムシ歯予防の2つめのポイントは、再石灰化をきちんと発揮させることです。

ムシ歯の進行
脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が続いてしまうと、歯に穴が開き始めます。
穴が開くと、ムシ歯を削って埋める治療が必要になり、進行すると歯を抜かなければなりません。
できるだけ早く発見し、進行を止めることが大切です。

痛みはありませんが、エナメル質に穴が空いて黒っぽくなっています。

象牙質にまでムシ歯が進んで、冷たい水がしみたりします。

神経までムシ歯が進んで、ズキズキと痛みます。

歯の部分はほとんどなく、歯の根っこ部分だけの状態になります。
フッ素の働きって?
フッ素の働き
歯を修復するフッ素は、溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンを歯に戻す「再石灰化」を促進して歯を修復し、酸に強い丈夫な結晶にします。
また、ムシ歯菌の活動を抑えて酸を作りにくくし、「脱灰」を抑制します。
ムシ歯予防のためには、毎日のケアにフッ素を取り入れることが効果的です。


歯みがき剤に含まれるフッ素
日本では、9割以上の歯みがき剤にフッ素が配合されており、ムシ歯予防に役立っています。
成分名は「フッ化ナトリウム」や「モノフルオロリン酸ナトリウム」です。フッ化ナトリウムは、歯の表面ですばやく反応し初期ムシ歯の予防に効果的です。モノフルオロリン酸ナトリウムはフッ化ナトリウムと比べて反応は遅いですが歯の深い部分に作用します。
フッ素配合歯みがき剤の
効果的な使い方
フッ素を口に残すこと
歯みがきの後、フッ素を口中に多く残すことで、再石灰化効果が高まります。そのために、次の①~③を意識しましょう。

❶歯みがき剤の量はたっぷり使う

❷歯みがき中、唾液を吐き出さない

❸歯みがき後のうがいは軽くする
発泡剤無配合がおすすめ
フッ素配合歯みがき剤を効果的に使うためには、発泡剤が配合されていないものがおすすめです。
発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)は、ブラッシングの時に泡立たせる成分のこと。
磨けた気分になり気持ち良いのですが、磨いている途中で吐き出したくなったり、たくさんうがいをしたくなったりするため、フッ素が口中に残りにくくなります。
